悩み、迷い、揺らぎ、焦る オンナたちの“自分らしさ”選択

2017.11.27

 「女」「妻」「母」等さまざまな顔を器用に使い分ける女性たち。しかしその器用さの裏では若い頃悩み、迷ってきたのではないでしょうか。そして年を重ねてからは、自分の選択してきたことが本当に正しかったのか、不安になり揺らいでいるかもしれません。
 今回は、2013年2月に実施した「ライフスタイル調査2013」の結果の中から、“自分らしい生き方”に迷い、悩み、揺らぎながらも“自分らしい”選択を模索するオンナゴコロに関する調査データをご紹介します。

年齢とともに多様化する女性の生き方

 図1は、年齢別のライフコース変化をグラフに表したものです。ライフコースとは、個人が生まれてから死ぬまで、年齢を重ねるとともにたどる人生の道筋のことを指します。就学・就職・結婚・出産など、女性は一生の間にさまざまなライフイベントを経験し、その都度自分なりの選択を積み重ねてライフコースを決定しています。一般的に30代前後からライフコースが多様化すると考えられており、ライフコースの変化が女性の価値観に大きな影響を与えると言われています。今年は、男女雇用機会均等法が施行された1986年に生まれた女性が27歳になり、ちょうどライフコースの選択をせまられる年を迎えています。施行時に20歳だった女性は現在47歳。つまりは消費を担う47歳以下の女性たちは、家庭だけでなく社会においても労働力として働くことが求められてきた世代と言えます。彼女たちが今何を考え、何に悩むのか。このオンナゴコロをつかむことはマーケットを的確に捉える上で不可欠になっています。
 そこで、オンナゴコロを理解する上で外せないライフコースを決定づける『仕事』『結婚』『出産・育児』に注目し、オンナゴコロを読み解いていきたいと思います。

1 .【悩む】 しあわせ = 結婚? 出産? 仕事?

 女性たちに「自分の人生を左右すること」として『仕事』『結婚』『出産・育児』について聞いたところ、すべての年代で8割を超える人が『結婚』と『出産・育児』は人生を左右すると考えていることがわかりました(図2)。そして若い人ほど『仕事』も人生を左右する大きな要因としてあげており、20代以下では『結婚』『出産・育児』同様に8割を超えていることがわかります。
 「女性のしあわせ」として『仕事におけるキャリア』『結婚』『出産・育児』について聞いた結果では、やはり若い人ほど『仕事』の影響力の高さがうかがえる結果となりました(図3)。いつの時代でも世代による価値観の差があるとはいえ、これらの意識差は女性の社会進出といった時代背景が影響していると想像されます。
 また、図4の「家事・子育て・仕事の役割」をみると、若い人ほど“男女間の役割意識”がすべてにおいて高い傾向がみられました。若い人たちのほうが、「しなければならない(must)」の意識が高いがゆえに、何を選択していくべきか悩みが生じているのかもしれません。

2 .【迷う】 自分vs家庭vs仕事?それとも…?

 仕事でキャリアを積む女性が増えている現代、女性たちは家庭を顧みなくなったのでしょうか。『自分』と『家庭』と『仕事』に迷うオンナゴコロにせまってみました。
 『家庭と自分に関する迷い』(図5)では、「結婚しても自分の時間を大切にしたい」がすべての年代で8割、「子どもがいても、自分の時間は大切にしたい」がすべての年代で7割を超えました。結婚や出産をしても“自分の時間”を大切にしたいという気持ちの高さは年代を問わず高いようです。一方で、「自分のことよりも家族のためにつくしたい」については、60代に次いで20代、30代の順で高く、ライフイベントに直面する世代の“自分を大切にしたいキモチ”と“家族のためにつくしたいキモチ”の葛藤を感じさせます。妻でも母でもない“私”を捨てたくない、諦めきれないという女性たちの迷いの存在は無視できません。
 そして図6の『家庭と仕事に関する迷い』において30代では「結婚したら家庭を優先するべき」という意識が20代以下の世代より高く、共働き意識が低い傾向がみられました。結婚や育児を現実に目の当たりにした時には、迷いながらも家庭意識が高まるのかもしれません。また、「共働きをして、お互いのキャリアを高めていくべき」という意識が30代で一旦下がってから40代以降で上がる様子からは、「私の人生は本当にこれでよかったのかしら」「もっと違う人生があったのでは」といった揺らぐ感情の存在が想像されます。
 次のページでは、自分らしい生き方を悩み、迷いながらも選択していった女性たちの“その後”のキモチについて考察してみます。

3 .【揺らぐ】 これで良かったのか…。このままで良いのか…。

 女性にとっての“じぶん探し”や“じぶん選択”は、結婚や出産を経験する前までの若い時期に限ったことなのでしょうか?
 生き方の選択肢の増加は、既に結婚し育児をしている女性たちや結婚をしないことを選んだ女性たちにとっても、一度決意したことに対する“揺らぎ”の感情を芽生えさせるきっかけになるかもしれません。
 図7によると、「自分を成長させてくれるものに魅力を感じる」にあてはまると回答した人は20代(81.0%)に続いて、60代(80.9%)が多く、“じぶん磨き”は幅広い世代で賛同されていることがわかります。
 そして、「いつまでも自分の夢を大切にしたい」「いつも新鮮で変化のある生活がしたい」に関しても、30〜40代で一旦下がった意識が50代以上になって復活してくる様子。女性たちの衰えることのない向上心と好奇心をみてとれます。
 現代は、自分が選んだことを自分が肯定すれば周りも認めてくれる空気感のある時代。例えば、シングルマザーを選ぶことや、晩婚に対して、一昔前は今よりもっと世間から厳しい意見や偏見があったかもしれません。しかし今では、選んだ本人が自分らしく生き生きと生活していくことが評価される空気感があるように思われます。ただし、選択肢が増え、世間からの容認も得やすくなった一方で、“じぶんの選択”を振り返り「良かったのか」「このままで良いのか」と揺れる人も多いと思われます。自分の選択をポジティブに捉える意識と不安や焦りが常に隣り合わせになっている様子が垣間見られます。

4 .【焦る】 しあわせ = 結婚? 出産? 仕事?

 悩み、迷う女性たちですが、自分らしい“じぶん選択”に時間の制限はないのでしょうか?
 『結婚』『出産』という2大イベントについて、“理想の年齢”と“焦り始める年齢”について聞いたところ(図8)、世代ごとに差はあるものの「理想の初婚」から「第一子出産」までは平均5.1年でした。概ね25〜35歳までの短期間に人生の選択を迫られるようです。特に実際に人生の選択に直面している30代に注目すると、理想の結婚(26.8歳)から第一子を焦り始める年齢(32.3歳)まで実に「5.5年」しかなく、理想通りに選択していくことの難しさが垣間見られます。厚生労働省発表によると、日本人の2011年時の平均初婚年齢は男性が30.7歳、女性が29.0歳。第1子出産時の母親の平均年齢は30.1歳です。「大学を卒業し23歳で就職。仕事に打ち込み、“理想の結婚/出産”年齢をすっかり忘れた日々を過ごす間にいつの間にか焦る年代に突入してしまった…。ましてや体にはタイムリミットがあるのに」。問答無用で選択を迫られる中、自分なりの“こたえ”を日々探す女性たちの姿が想像されます。すべてのことに全力で向き合いたいキモチと、実際には何かを選択しこれまで築いてきた何かを捨てなくてはいけない現実に挟まれ困惑しているかもしれません。だからこそ、選択に時間がかかるのは当然といえるでしょう。
 しかし、最近よく耳にする“婚活”や“妊活”という言葉からは、人生における選択の不安や迷いを昇華し、前向きに捉えようという女性たちの強さが感じられます。世代や時代を超え、女性たちは自分らしい“生き方”、“しあわせ”を自らの責任のもと切り拓いていく力を持っているのかもしれません。
 Flabでは、彼女たちが選ぶ“じぶん”らしい答えと、その彼女たちをみて育つ次の世代が抱く未来を今後も追っていく必要があると感じています。
 たとえ「選択肢」が増えても、全員が自分の望み通りの選択をできるわけではないのが現実。だからこそ悩み、迷い、揺らぎ、焦ります。しかし女性には“今の自分”を受け入れ、“未来の自分”を見つめる前向きな強さがあります。この彼女たちのもつ強さこそ女性の原動力であり、マーケットを捉える上で忘れてはいけないポイントといえそうです。
【出典】WisE「ライフスタイル調査2013」調査期間/2013年2月1日〜2月5日 調査対象者/一都三県に居住する15歳〜69歳の男女 有効回収数/男性1,092 女性4,189サンプル 調査方法/インターネット調査 実査/株式会社インテージ

■WisEとは?

 読売ISでは、多様化する女性の生き方や複雑なオンナゴコロを紐解くため、独自に調査したデータに基づく女性向けマーケティング・コミュニケーションモデル【WisE(ワイズ)】を開発。ライフコースを軸とした女性の意識や生活実態について調査・分析を進めています。Flabでは、WisEの調査結果を基にライフコースと女性の消費行動について紹介しています。
2013 May

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